Before:機械はフル稼働、でも会社にはお金が残らない
自動車の部品を製造するその町工場は、昼夜を問わず機械を回し、職人たちが汗を流していました。しかし、社長の顔はいつも曇っていました。「こんなに忙しいのに、なぜか会社に利益が残らないんです。取引先から言われるがままの単価で受けている仕事ばかりで…」
長年の付き合いがある元請け企業に対して、「値上げしてほしい」とは言い出せない。昔ながらの“ドンブリ勘定”で、どの製品でいくら儲かっているのか(あるいは損しているのか)が社長自身も把握できていないという、下請け企業が陥りがちな苦しい状況でした。
Action:社長に「数字」という最強の武器を授ける
私はまず、「勘」ではなく「客観的な事実」を武器にするために、工場の数字を徹底的に洗い出すことから始めました。現場の製造工程を確認し、部品一つを作るのにどれだけの材料費等の直接費がかかっているのか、製品ごとの「本当の原価」をすべて計算し直したのです。
さらに、「今の単価で、月にいくつ製造・販売すれば赤字を抜け出し、利益が出始めるのか(損益分岐点)」というシミュレーションも行いました。
すると、一生懸命作れば作るほど赤字になっている製品や、どう頑張っても利益が出ない構造が浮き彫りになったのです。
「社長、この数字を『武器』にして交渉に行きましょう」
私は、適正な価格を示すための説得力ある資料を作成し、社長にお渡ししました。社長が一人で元請けの前に座っても堂々と説明できるよう、どんな質問が来るかを想定し、何度もミーティングを重ねて交渉の準備を裏方として徹底的にサポートしました。
After:赤字から一転、黒字へ。社長が一人で勝ち取った適正価格
入念な準備と、TAKAHIROが作成した「反論の余地がない原価データ」を持参した社長は、一人で元請け企業との交渉に挑み、見事に単価の引き上げに納得してもらうことができました。
わずか3ヶ月の取り組みで、年間約3,000万円もの売上増加を実現。限界利益率も大きく改善し、苦しかった会社の利益はしっかりと黒字に転換しました。
「作ってもらった資料のおかげで、自信を持って適正価格を主張できました。これでやっと従業員に還元できます」
そう笑って報告してくれた社長の顔には、経営者としての力強い自信がみなぎっていました。